問題文
原子力発電に用いられる \( M \) [g] のウラン 235 を核分裂させたときに発生するエネルギーを考える。ここで想定する原子力発電所では、上記エネルギーの30%を電力量として取り出すことができるものとし、この電力量をすべて使用して、揚水式発電所で揚水できた水量は90000 m\(^3\)であった。このときの \( M \) の値[g]として、最も近い値を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ただし、揚水式発電所の揚程は 240 m、揚水時の電動機とポンプの総合効率は84%とする。また、原子力発電所から揚水式発電所への送電で生じる損失は無視できるものとする。
なお、計算には必要に応じて次の数値を用いること。
核分裂時のウラン 235の質量欠損 0.09%
ウランの原子番号 92
真空中の光の速度 \( 3.0 \times 10^{8} \) m/s
選択肢
まず、揚水に必要なエネルギー(位置エネルギーの増加分)を求めます。
\[ E_{water} = 9.8 Q H \times 1000 = 9.8 \times 90000 \times 240 \times 1000 \approx 2.1168 \times 10^{11} \text{ [J]} \]
これに必要な電力量(入力)は、揚水効率 \( \eta = 0.84 \) より
\[ E_{in} = \dfrac{E_{water}}{0.84} = \dfrac{2.1168 \times 10^{11}}{0.84} = 2.52 \times 10^{11} \text{ [J]} \]
この電力量は原子力発電エネルギーの30%に相当するため、核分裂による全エネルギー \( E_{total} \) は
\[ E_{total} = \dfrac{E_{in}}{0.3} = \dfrac{2.52 \times 10^{11}}{0.3} = 8.4 \times 10^{11} \text{ [J]} \]
アインシュタインの質量とエネルギーの等価性 \( E = mc^2 \) より、質量欠損分 \( m \) は
\[ m = \dfrac{E_{total}}{c^2} = \dfrac{8.4 \times 10^{11}}{(3.0 \times 10^8)^2} = \dfrac{8.4 \times 10^{11}}{9.0 \times 10^{16}} \approx 0.933 \times 10^{-5} \text{ [kg]} = 9.33 \times 10^{-3} \text{ [g]} \]
これはウラン235の質量 \( M \) の0.09%に当たるため
\[ M \times 0.0009 = 9.33 \times 10^{-3} \text{ [g]} \]
\[ M = \dfrac{9.33 \times 10^{-3}}{0.0009} \approx 10.37 \text{ [g]} \]
最も近い値は 10.4 です。