問題文
電力系統における直流送電について交流送電と比較した次の記述のうち、誤っているのはどれか。
選択肢
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(1)
直流送電線の送・受電端でそれぞれ交流-直流電力変換装置が必要であるが、交流送電のような安定度問題がないため、長距離・大容量送電に有利な場合が多い。
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(2)
直流部分では交流のような無効電力の問題はなく、また、誘電体損がないので電力損失が少ない。そのため、海底ケーブルなど長距離の電力ケーブルの使用に向いている。
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(3)
系統の短絡容量を増加させないで交流系統間の連系が可能であり、また、異周波数系統間連系も可能である。
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(4)
直流電流では電流零点がないため、大電流の遮断が難しい。また、絶縁については、公称電圧値が同じであれば、一般に交流電圧より大きな絶縁距離が必要となる場合が多い。
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(5)
交流-直流電力変換装置から発生する高調波・高周波による障害への対策が必要である。また、漏れ電流による地中埋設物の電食対策も必要である。
4. **誤り**。前半の「電流零点がないため遮断が難しい」は正しい。しかし、後半の絶縁設計に関する記述が誤りである。交流電圧(実効値 \(V_{ac}\))の波高値(ピーク値)は \(\sqrt{2} V_{ac}\) であるが、直流電圧 \(V_{dc}\) は一定である。絶縁破壊は主に電圧のピーク値に依存するため、公称電圧(実効値)が同じであれば、直流の方が波高値が低く(\(\sqrt{2}\)倍されない)、**絶縁距離を小さくできる**(あるいは同一絶縁距離であればより高い電圧を送電できる)という利点がある。「交流電圧より大きな絶縁距離が必要」という記述は逆である。